業務用アプリケーションを開発する際に、悩みの種となるのが配布方法だ。
App Storeで配布すれば、簡単に企業もダウンロードすることが可能だが一般の利用者にもアプリケーションが公開されダウンロード可能となってしまう。
そこで社内のみで配布可能となるエンタープラズプログラムがある。
エンタープライズプログラムを利用すれば、 社内用に開発したアプリケーションを外部に公開せずに配布することができるが、そのためにはセキュアな環境となる配布用サーバを準備する必要がある。
このサーバにエンタープライズライセンスで署名したアプリを配置し、各端末からダウンロードする形となる。
この配布用のセキュアなサーバを用意せずに、アップルが用意するストアから外部に公開されることなく企業専用アプリケーションをダウンロードできる仕組みが「カスタムB2Bアプリケーション(以下、B2Bアプリ)」だ。
そしてこれはエンタープライズプログラムのように年会費を必要としない。有料アプリの場合は購入ごとにお金がかかる。
カスタムB2Bアプリケーション
B2Bアプリは企業の業務に特化したアプリケーションを作成、非公開で配布ができる。
以下がその特徴だ。(Apple公式サイト)
- 会社のロゴやブランドイメージなど、個別にカスタマイズされたルック&フィール
- ビジネスプロセスやワークフローに合わせて特化された機能
- IT環境に応じた特別な構成
- 機密性の高い企業データや社外秘のデータに対するセキュリティ機能
- パートナー、販売業者、またはフランチャイズ向けのカスタム機能
などなど。
導入概要
B2Bアプリの導入は、ビジネス向けのApp Store一括購入プログラム「Volume Purchase Program」と一緒に考えなくてはならない。
Volume Purchase Programは通常のApp Storeのアプリを一括で購入するための企業プログラムだが、そのプログラムの中でB2Bアプリが購入可能となる。
つまり、B2Bアプリを導入するためには、Volume Purchase Programへの登録が必須となる。
Volume Purchase Program
Volume Purchase Programはここから登録を行う。
以下、登録に必要な情報。
- 会社のD-U-N-S(Dun & Bradstreet)ナンバー
- 電話番号とEメールアドレスを含む、会社の連絡先情報
- 会社の住所(現在有効なもの)
- 免税資格についての情報(該当する場合)
Volume Purchase Programの登録では専用のApple IDを作成する。
このApple IDはApp Storeで利用している既存のApple IDは利用できない。専用に作成する必要がある。
またこれはB2Bアプリを開発する際に、開発会社へ配布先会社として登録してもらうために教える必要がある。(※当然パスワードは教えてはいけない)
この登録には、法人の確認が必要となるので何日かかかると思われる。
B2Bアプリ開発
Volume Purchase Programの登録が完了しApple IDを作成したら、あとは通常のアプリ開発と同様に、開発会社にB2Bアプリの開発を依頼する。
開発会社では、セキュリティを意識した上でアプリを開発し、iTunes Connectを利用してB2BアプリとしてAppleへを申請する。
App Storeへ並べるアプリと同様のガイドラインの下でアプリのレビューが行われる。
※修正 2014/6/15 こちらガイドラインは一般用とB2B用では異なるようです。
申請を行う際はVolume Purchase ProgramのApple IDが必要となり、具体的にはiTunes Connect - Manage Your Appsの対象アプリの「Rights and Pricing」にて、Custom B2B Appを有効にしたあとにApple IDを追加する。1つ以上のApple IDの登録が必須となる。
価格設定も無料・有料の設定が可能となっている。
レビューに通過したあとは、Volume Purchase Programの専用ページでB2Bアプリが公開される。
この公開の方法も通常と同様に開発者がスケジュールを設定したりと自由に公開日をコントロール可能だ。
WWDC 2012 Session Videos - iOS向けのカスタムB2Bアプリケーションを作成
※ 開発者ログインが必要
B2Bアプリの導入・配布
B2Bアプリの申請時に設定したApple IDの企業のみが専用ページでダウンロードが可能となる。
以下はVolume Purchase Programのビジネスストアだが、Volume Purchase Programのアカウントでログインすると公開済みのダウンロード可能なB2Bアプリが表示される。
https://vpp.itunes.apple.com/jp/storeアプリを購入する際は、法人カードが必要となる。(※米国ではpaypalでの支払いが可能らしい)
購入後は、ダウンロードした個数分のダウンロードコードとダウンロードURLがスプレットシートとしてダウンロードできる。
このコードとダウンロードURLを利用して従業員へB2Bアプリを配布する。
配布方法には以下が考えられる。(Appleサイト)
- 引き換えURLをEメールでユーザーに直接送信する。
- 企業イントラネットページなどの社内用ウェブサイトに引き換えコードとURLを掲載する。
- 他社製のモバイルデバイス管理(MDM、Mobile Device Management)ソリューションを使ってコードを一か所で管理する。
- Apple Configuratorを使って新規のデバイスや管理対象デバイスにアプリケーションをインストールする。
購入履歴やダウンロードの状態もVolume Purchase Programの専用ページで確認が可能なようだ。
当方、業務アプリの配布形態に関して調査しているところなので参考になります。
返信削除>App Storeへ並べるアプリと同様のガイドラインの下でアプリのレビューが行われる。
この点ですが、Appleに電話で確認したところ
ボリュームパーチャスでばらまくところのアプリに関していえば
普通の一般向けに配布されるアプリとは違った審査基準で審査されるとのことです。
ある意味、一般配布向けより緩和されたものと期待wしてます。
>tikushouさん
返信削除コメントいただきありがとうございます。
ガイドラインに関する部分を修正させていただきました。
他にも変更や異なる点がないかまた調べてみたいと思います。
最近はこんなサービスもあるようです。
返信削除iOS、Androidに対応した業務用アプリ配布環境「APP DOWNLOADER」
http://www.appdl.jp/